ピロリ菌が陽性の患者さんで、ピロリ菌の除菌が成功すれば50~70%の患者さんで血小板が増加することが知られています1)。
副腎皮質ホルモン製剤には、免疫を抑制する作用があり、自己抗体が結合した血小板がマクロファージで破壊されるのを抑制するなどのはたらきがあります。血小板数や出血症状をみながら、減量や投与の中止をします1)。
トロンボポエチン受容体作動薬は、骨髄中の巨核球を成熟させ、血小板の産生をうながす作用があります1)。
自己抗体は成熟したB細胞(形質細胞)で産生されます。抗CD20モノクローナル抗体製剤はB細胞を減少させる作用があり、それに伴い自己抗体の産生も減少し、血小板の破壊が抑制されます1,2)。
手術によって、脾臓を摘出します。脾臓は、自己抗体が結合した血小板の破壊や自己抗体の産生を行う部位であるため、摘出することにより、血小板数の回復が期待できます1)。
脾臓チロシンキナーゼという酵素による細胞内のシグナル伝達を阻害することで、マクロファージによる血小板の破壊とB細胞による自己抗体の産生を抑制します3)。
免疫グロブリンがマクロファージと結合することにより、自己抗体と結合した血小板がマクロファージに破壊されるのを防ぎ、血小板数の減少を抑制します。大量の免疫グロブリン製剤を5日間連続して点滴静注します1,2)。
大量の副腎皮質ホルモン製剤を3日間連続して点滴静注します。重篤な出血時には免疫グロブリン大量療法や血小板輸血と併用されます1)。
ITPでみられる自己抗体は、輸血した血小板にも作用するため輸注された血小板の寿命は短く、血小板数の増加が得られる期間は通常よりも短くなります。緊急時には免疫グロブリン大量療法と併用することで、血小板増加効果が得られやすくなります1)。
また、特発性血小板減少性紫斑病では、病態の分子メカニズムの解明とともに新規治療薬の開発も進んでいます。近年、新しい治療選択肢が追加されました4)。
抗血小板抗体が結合した血小板の大部分は脾臓という臓器に取り込まれ破壊されます2)。FcRn阻害薬は、細胞内に存在する胎児性Fc受容体(FcRn)というタンパク質に結合することによって自己抗体(抗血小板抗体)の分解を促進します。その結果、自己抗体が減少して血小板の破壊が抑制されます5)。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療について、より詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。
「成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019年版」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinketsu/60/8/60_877/_article/-char/ja/