血液の中には赤血球、白血球、血小板が流れています。赤血球は酸素を運ぶ役割をもち、白血球は細菌やウイルスなどの病原体から体を守る役割を持っています。そしてケガなどで出血した時に血を止める役割をもつのが血小板です。この血小板が通常より減少して、出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりする病気が特発性血小板減少性紫斑病[とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう]です1)。この病気は、免疫の異常によって起こる自己免疫疾患と考えられています。「紫斑」は青あざのことです。長い名前ですので、英語の頭文字をとって、通称「ITP※」と呼ばれています。
※ITP:Idiopathic Thrombocytopenic Purpuraまたはimmune thrombocytopeniaの略です2)。
血管が何らかの要因によって破れると出血します。このような場合、血小板が血管の破れた部位に付着します。付着した血小板は、活性化し、さらに血小板が集まってきます。その結果、血栓がつくられ、出血が食い止められます。
ITPは、診断からの期間により、新規診断ITP、持続性ITP、慢性ITPの3つに分類されます。
Rodeghiero F et al.: Blood. 2009; 113: 2386-2393
柏木浩和: 日本内科学会雑誌. 2020; 109: 1347-1354より作表
※ 寛解とは、病気が治ったという状態ではありませんが、病気による症状や検査値異常が消失した状態です3)。
国内では、ITPの患者数は約25,000人と推定されています4)。
20~40歳台では女性が男性の約3倍多く、高齢者では男女差はありません。どの年代の方でもかかりますが、特にかかりやすい年齢は6歳以下の小児、20~40歳くらいの女性、高齢者です4)。